データでご紹介!今日の一冊

第189回2023.06.13

ヒロインでもないモブな自分がいつの間にか攻略者に囲まれて
恋の行方に興奮と困惑の日々を送ります 【本編完結・番外編完結】【第189回『今日の一冊』掲載】悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!!

乙女図

物語

男子生徒が投げたボールがあたり、
気を失った侯爵令嬢のアイラは
前世の記憶をとり戻し、
プレイを楽しんでいた
「乙女ゲーム」の世界に生きていると知った。

ゲームでのアイラは、
攻略対象のひとりである兄、
カイルに会いに来たヒロインのローズと
家の階段で出会うだけという、
究極の「モブキャラ」だった。

ヒロインのように男子を攻略することなく、
悪役令嬢からのキツい仕打ちに
遭わずに済むと理解したアイラは、
親のようにヒロインの行動を
見守れるとうれしく思う。

さらに、アイラは前世で
夢中になっていた手芸に精を出し、
好きなように過ごそうと決意した。

母から教えられたクラフト店へ行ったアイラは
材料を買いこんで帰るところで、
兄とはぐれて泣いている少女、ニーナと出会う。

また、ニーナはお気に入りの
リボンが傷んでいることも気に病んでおり、
アイラは買ったばかりの素材を使い、
きれいに修復した。

ニーナの兄が現れたため、
アイラは安心して帰宅すると、
早速身の周りの人たちに贈る刺しゅう入りの
ハンカチ制作にとりかかった。

カイルにも手製のハンカチを贈ったアイラは、
ゲームでローズが彼と出会う日を迎える。

シナリオ通り、カイルはハンカチを落とし、
それを拾ったローズにひと目惚れした。

放課後、アイラはカイルと
いっしょに帰ろうと思っていると、
彼が遅れることを伝えに
公爵令息のヨハネスが現れる。

ゲームでのヨハネスは二人目の攻略者で、
カイルと同じくローズに恋をするが、
結ばれることはなく、
カイルとの友情もこじらせる存在だった。

ゲームにはない展開を迎えて驚くアイラは、
ヨハネスの袖のボタンが
とれかかっているのに気づき、
図書室で直しているとカイルが現れ、
ふたりで帰宅する。

ひと月ほど経つと、
カイルとローズは仲を深めてゆく一方、
挨拶を交わす程度の関係に
留めているアイラに対し、
ヨハネスは残念な気持ちを抱いていた。

ローズが家へ来るタイミングが近づき、
アイラはゲームで見た光景が
出現するとあって興奮するなか、
いよいよその日を迎える。

アイラはローズと会話を交わして感動するものの、
カイルの恋心が実らない未来を思って胸を痛めた。

ローズがカイルの部屋へ入った後、
ヨハネスが妹を連れて家を訪れ、
アイラはニーナが彼の妹と知る。

アイラの驚いた声に、
カイルとローズが部屋から出てくるが、
ゲームではまだ出会うはずのない
ローズとヨハネスが対面することになり、
アイラは頭を混乱させた。

カイルはローズとの関係を知らない
ヨハネスを自室に案内し、
彼女へ初恋を意識し、
将来は結婚したいと打ち明ける。

一方、残されたアイラ、ローズ、ニーナが
お茶会を楽しむうち、
ローズはカイルから贈られたアイラお手製の
髪飾りのでき映えを称賛した。

作ったものを売れる場所があればと話すアイラに、
ローズは街で月に一度開かれている市に
出してはどうかと提案した。

登場人物

アイラ・プ・ガルバドール

15歳の侯爵令嬢。

茶色の髪に緑色の瞳を持つ。

常ににこやかで愛想がよく、やさしい性格。

純粋かつ控えめで、他人へは親切に接する。

恋愛への興味は薄く、異性との機微に疎い。

前世の記憶を得てから手芸に目覚め、
夢中になると作品を作り過ぎたり、
勉強を忘れることも。

「乙女ゲーム」にはまっていた前世では
同じく手芸好きの友人をかばい、
包丁を振りまわす男の犠牲となって死亡した。

ヨハネス・ヴィー・グラマー

公爵令息でカイルの友人。

黒髪に紫色の瞳で、容貌にすぐれている。

性格は気さくで紳士的。

カイルと並び、女子生徒に人気が高く、
異性とはふたりきりにならないよう
心がけている。

アイラが前世で楽しんでいたゲームでは、
ローズへの恋心とカイルとの友情の間で悩んだ末、
恋心を選んだ。

また、ヒロインのローズにとっては、
二人目の攻略者という存在で、
悪役令嬢にいじめられる彼女を見かけて
助けることから関係がスタートしていた。

カイル・プ・ガルバドール

アイラの兄で、18歳。

容貌は美しく、アイラ同様に髪は茶色で瞳は緑色。

妹思いで、性格はおだやかでやさしい。

恋愛経験はなく、ローズが初恋の相手となった。

同い年で同じ学園に通うローズとは
クラスが異なる。

ゲームではローズの一人目の攻略対象者だが、
彼女から友人以上の存在と思われず、失恋する。

子爵令嬢のローズは身分差に反して
彼と仲を深めたため、悪役令嬢から反感を買った。