子爵家の次女、アスタは頭を打ったことで
孤独なまま過労死した前世の記憶をとり戻した。
現世で家族に愛されているアスタは、
貴族ながら貧しい領地の現状を
どうにかしたいと考える。
8歳を迎え、
「スキル」が授与される機会が訪れたアスタは、
収納に関する「インベントリ」と
「生活魔法」のほか、
「ようこそわたしの農園へ」というスキルを得た。
周囲でなじみのない、
「ようこそわたしの農園へ」のスキルは、
前世のアスタが楽しんだ
農業ゲームと通じるものだった。
スキルを意識したアスタの視界には
ディスプレイが現れ、
チュートリアルの案内が表示される。
案内に従ったアスタは、
小麦やとうもろこしの栽培と収穫をこなし、
収穫物を販売所へ持ちこんだ。
販売所の画面に投入口が出現し、
そこに押しあてた硬貨が吸いこまれると、
アスタの前に収穫物が実体化された。
実体化された小麦をアスタの父が鑑定すると、
領地で収穫できるものより
価格が安いうえ、良質との結果が出る。
アスタは栽培と収穫を繰り返し、
レベルが上がるにつれて作物の種類が広がり、
加工工場も設置できると知った。
計算能力が高いアスタは
貴重で高価な砂糖や肥料の生産を可能にし、
前世の知識を動員してプリンを作ると、
家族や使用人を感動させる。
アスタは綿花を収穫して製糸まで可能にする一方、
領民のための肥料や小麦も生産した。
アスタの驚異的なスキルが悪用される
可能性を感じた父は、
隣接する土地を治める辺境伯を
後ろ盾にと考える。
一家と友好関係にある
辺境伯はアスタのスキルを気に入り、
彼女の保護を目的に
孫との仮婚約まで決められた。
アスタはスキルによって
順調に農作物や加工生産物の種類を増やしながら、
粗末だった食生活の質も向上させ、
家族が喜ぶ姿にひときわうれしさを感じる。
8歳になる子爵家の次女。
平凡な顔だちで、
赤みがかった金髪と青緑色の瞳をもつ。
性格は素直。
暗算が得意で、計画性に富んでいる。
農業を進めるうえでは効率を重視し、
前世での「ゲーマー」経験から
時間のロスを嫌う。